瑕疵担保責任、危険負担について

今回は売主側の責任問題について話をしていきたいと思います。

マンション売却の際、売主側の責任問題として「瑕疵(かし)担保責任」と「危険負担」の2つは必ず把握しておく必要があります。

これは売買契約後、もしくは物件引渡し後であっても関係してくる話ですので、よく理解しておかなければトラブルの原因にもなりかねません。

まずは危険負担について簡単に説明していきたいと思います。

危険負担とは?

この危険負担とは、マンションの売買契約後、売主・買主どちらにも責任が無い事由により物件の引渡しができなくなってしまった場合の取り決めだと思ってください。

例えば、無事に売買契約が終わり、2日後の日曜日には物件の引渡しも決まっていたとします。

しかし、地震や台風などの災害によって当物件が損壊してしまいました。当然、物件の引渡しは不可能です。さてこの場合、売買契約自体はどうなってしまうのでしょうか?

一般的な法律の解釈を適用するなら、売買契約が終わっているので建物の所有権は買主側にあり、買主は売主に対して売買代金の支払いをしないといけません。つまり、建物は無いのにお金だけを支払わないといけないことになってしまいます。

これでは買主側があまりにも可哀想ですよね。

特に不動産の場合は住宅ローンを利用することが多く、「契約 →決済 →引渡し」というようにタイムラグが生じるため、、「契約日=引渡し日」とはいきません。

その間に万一災害などが発生してしまうと、契約時の状態で引渡しができなくなるケースが出てきます。

そこで、一般的な不動産取引で用いられるのが、「危険負担」という特約です。

売買契約書内にて、「当物件の引渡が完了する前に天災、または売主や買主のいずれの責でもない事由により当物件が損壊したときは、売主は当物件を修復した後、買主に引渡しをするものとする」、というように、売主の負担とする特約を定めるのが一般的です。

つまり、地震や台風などの天災、もしくは隣家の火災の延焼など、売主と買主どちらにも責任がない状態で建物が損壊・破損した場合には、売主が修理をして買主に引き渡す、という約束になります。

これによって、買主があまりにも不利にならないように守っている、ということです。

補足:失火責任法について

先ほど例に出した、「隣家の火災の延焼」等の際には、失火責任法という法律が適用されます。

失火責任法1条に、「民法第709条 の規定は失火の場合にはこれを適用せず。但し失火者に重大なる過失ありたるときはこの限りにあらず」、とあります。

何が書いてあるかというと、「失火の場合に関しては、わざと(故意)でもわざとじゃなくても(過失)、損害賠償をしなくていいよ」という、一見すると意外な内容が書かれています。

普通であれば、自分が起こしたトラブルについては、責任を取って賠償する必要がありますが、失火の場合に関しては、「重過失じゃない限りは損害賠償しなくていいよ」、と法律で決まっているのです。

つまり、引渡し前に、隣の家の巻き添えで火事になった場合でも、隣の人は責任を取ってくれません。巻き添えで燃やされた側からすると、なかなかヒドイ話に聞こえますね。

しかし法律で決まってしまっているため、この部分をどうにかカバーする必要があります。

例えば自分が家を売るときに、3月末で家を出て、新しい入居者が6月1日まで入居しなかったとします。この時、よくあるのが火災保険を3月末で契約解除してしまうケースです。

確かに自分自身はもう住んでいませんが、新しい入居者が来るまでの2ヶ月の間に、万一火事があったら大変です(あなたが修繕しなくてはなりません)。

そのため、しっかりと引渡しが完了するまで、保険などは解約せずに残しておく必要があります。

これは意外な盲点となりますので、忘れないように注意しておきましょう。

瑕疵担保責任とは?

瑕疵担保責任とは、目に見えない部分に重大な欠陥がある場合、物件引渡し後であっても、売主に修繕・改修の義務があることを定めた法律のことです。

マンション売買で多いのが、雨漏りや給排水設備などのトラブルです。

売主は、売買契約時に建物の状況を報告する義務があります。当然、目に見える部分に関しては売主からの申告により、買主側は事実を把握することができますし、その事実を知ったうえで購入したと認められてしまいます。

例えば、床に大きな穴が空いているのを知りながら購入したのであれば、当然修理費用は買主が負うことになります。

しかし、雨漏りや給水設備などのトラブルは、外から見ただけでは判断がつかないケースが多く、この「目に見えない部分の欠陥」を瑕疵と呼びます。

雨漏りや給水設備のトラブルに関しては、売主自身も知らない(気づいていない)ケースが多く、売主側の落ち度というわけではないのですが、瑕疵担保責任があることで、修繕の義務は売主に発生します。

そのため、引き渡し時には売主・買主ともに認識していなかったトラブルに関して、引き渡し後になってから売主が修繕の義務を負う場合がある、ということですね。

もちろん、この瑕疵担保責任の義務が一生涯続くわけではありません。

売主が個人の場合、一般的には物件引渡しから2ヶ月〜3ヶ月、長くても6ヶ月くらいの期間を設定することになります。

売主が不動産業者やリフォーム業者のような場合は、物件引渡しから2年間の瑕疵担保責任が課せられるようになっています。

この法律を知らない人も多いと思うので、売主側のリスクの一つとして、ぜひ覚えておきましょう。

その他のチェックポイントについて

雨漏りなどと違って、直接目でみて確認できる部分については、「物件状況確認書」や、「付帯設備一覧表」などで確認を行います。

中古物件の場合は関係ないのですが、新築の注文住宅や新築の建売住宅、または共同住宅(マンション)の場合は、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」というものがあります。

これにより、家の主要部分の瑕疵担保の期間が10年に義務化されました。家というのは、住んでみて初めて欠陥が分かったり、数年経過しないと分からない瑕疵もあるためです。

対象となる部分は、構造耐力上主要な部分と、雨水の浸入を防止する部分の2つです。

具体的にどの部分かというと、構造耐力上主要な部分は、柱、梁(はり)、耐力壁、基礎、地盤、土台等の構造躯体です。

雨水の浸入を防止する部分は、外壁や屋根の仕上、下地、開口部等です。

やはり2年間だけでは、このような部分の欠陥を発見することは難しいですよね。せっかく新築住宅を造ったんだから、10年間は主要部分についての責任を、業者や販売した会社が持ちなさいという内容の法律です。

万が一、瑕疵が見つかった場合は、修補請求や、損害賠償請求ができ、もし修補が不可能な場合は、契約自体を解除する事ができます。

ちなみに最近では、新築を購入すると何年間は無料でアフターサービスをしてくれるなどがありますが、これはあくまでサービスで、住宅の品質確保の促進等に関する法律とは関係がありません。

サービスで修理してくれるのと、法律で修理や損害賠償をしないといけない場合が違う事を頭に入れておきましょう。

契約前に各設備品をチェック

上記で書いているように、目でみてわかる部分については専用の項目があり、そちらにすべて記載しておかなければなりません。

売主が実際に居住していたマンションを売却するのであれば、建物の状況や設備品の状況は把握できていると思いますが、賃貸で貸していたマンションを売却する場合などは、虚偽の申告にならないように注意しなければなりません。

建物については、管理を委託していた不動産業者に聞いてみるのも良いですし、マンションの管理組合に尋ねるとだいたいのことはわかります。

エアコンや給湯器などの設備品に関しては、売主がしっかりチェックすることをおすすめします。

例えばエアコンが古く、いまにも故障してしまいそうであれば、わざわざ修理する必要はないでしょう。せっかく修理しても新しく購入した人が買い換えることも十分考えられますので、この場合は取り外すことを前提に売りに出せば良いのです。

ただし、新築分譲時から備わっているような給湯設備や、ビルトイン食器洗浄機などが調子が悪いのであれば、話は別です。

このように新築時から備わっているような設備品は修理しておくか、新しい物に交換を要求される覚悟をしておかなければなりません。

どの部分の交換が必要で、どの部分は修理で済ませることができるのかを把握しておくことで、概ねの出費を予測することができます。

設備の購入や修理に50万円程度が必要だとするなら、その金額を考慮したうえで売却価格を決ればいいので、マンションを売却する前に必ずチェックしておきましょう。

ちなみに瑕疵に該当しない部分に関しての保証は、引渡し後1週間ほどに設定するのが一般的です。

まとめポイント

  • 危険負担により、引渡し前に物件が損壊した場合は、売主に修繕の義務がある
  • 引渡し前の天災、火事のもらい火は、ほとんど保証されないので保険などをかけておく
  • 瑕疵担保責任により、目に見えない部分の欠陥に関しては売主に修繕の義務がある
  • 売りに出す前に設備品のチェックを行い、交換や修理にかかる費用を算出しておく
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