マンション売買時の瑕疵担保責任、危険負担について

瑕疵担保責任、危険負担について

マンション売買で注意が必要な瑕疵担保責任と危険負担について解説しています。両方とも売却する際のポイントとなるので、しっかり理解しておきましょう。

瑕疵担保責任は売却後に雨漏りや給排水設備などのトラブルが発生した場合、売主がある程度の期間、修繕費用を負担するという内容になります。

危険負担は売買契約締結後に引渡しが困難になった場合は、売主側が修繕義務を負うという取り決めになります。

この2つの内容は2020年6月1日施行の民法改正とも関りがあります。その内容も合わせて解説しているので、ぜひチェックしてください。

【目次】瑕疵担保責任と危険負担について
  1. 瑕疵担保責任とは
    1. 中古マンションでの瑕疵
    2. 瑕疵担保責任の期間
    3. 民法改正で変わる瑕疵担保責任
  2. 危険負担とは
    1. 危険負担の内容
    2. 民法改正で危険負担も改正される
  3. まとめ

不動産の瑕疵担保責任とは

瑕疵担保責任とは、目に見えない部分に重大な欠陥がある場合、物件引渡し後であっても、買主は売主に対して修繕・改修の損害賠償請求ができることを定めた法律のことです。

中古マンションの瑕疵

中古マンションの売買で多いのが、雨漏りや給排水設備などのトラブルです。

売主は、売買契約時に建物の状況を報告する義務があります。当然、目に見える部分に関しては売主からの申告があるはずですが、仮に無かったとしても買主は内覧する際に気づくはずです。

例えば、床に大きな穴が空いているのを知りながら購入したのであれば、当然それらの修理費用は買主が負うことになります。

しかし、雨漏りや給水設備などのトラブルは、外から見ただけでは判断がつかないケースが多く、この「目に見えない部分の欠陥」を瑕疵と呼びます。

雨漏りや給水設備のトラブルに関しては、売主自身も知らない(気づいていない)ケースが多く、売主側の落ち度というわけではないのですが、瑕疵担保責任を負う必要があります。

この瑕疵担保責任は個人同士の売買に適用され、売却相手が不動産業者や買取専門業者などの宅建業者であれば、売主の瑕疵担保責任は免除されることになっています。

瑕疵担保責任の期間

中古マンション売買であれば、売買契約締結から6ヵ月~1年間、売主が瑕疵担保責任を負うことが一般的です。もし買主が瑕疵を発見した場合、その時から1年以内に権利を行使しなければなりません。

しかし、築5年と築40年の中古マンションでは、明らかに築年数が古い物件の方が瑕疵のリスクが増します。築古マンションは売買価格が低いため、瑕疵担保責任を負ってまで売却するメリットはありません。

そこで売主と買主の合意があれば、瑕疵担保責任期間を短縮したり、瑕疵担保責任そのものを付けない契約を結ぶことも認められています。

ですが瑕疵担保責任を付けない契約を結ぼうとすると、なかなか買い手がみつからない可能性があります。当然ですが、「まったく責任は負いませんよ」という中古マンションは購入しづらいものです。

ですので、築40年などの中古マンションの場合は瑕疵担保責任の期間を3~6ヵ月くらいに設定するケースが多いです。

ちなみに売主が不動産業者やリフォーム業者のような場合は、物件引渡しから2年間の瑕疵担保責任が課せられるように、宅建業法によって決められています。

これが瑕疵担保責任の概要だったのですが、実は2020年4月1日より、瑕疵担保責任に関する法律(民法)が改正されることになりました。この改正は、現行民法が施行されて以来、120年ぶりの改革となります。

2017年5月に成立した改正民法の内容

2017年5月の国会で成立した改正民法案ですが、2020年6月1日までに完全施行されることになっています。

改正民法の内容に、今回解説してきた瑕疵担保責任も含まれているのです。実は新しく施行される改正民法では、瑕疵担保責任という文言は使用されなくなります。

代わりに「契約不適合責任」になります。

簡単に説明すると、瑕疵担保責任に契約内容に適合しない部分の責任が追加されているので、売主の責任が拡大されることになったのです。

つまり、より売主に厳しく買主に甘い法律になったということです。この改正民法による瑕疵担保責任で抑えておきたいポイントは以下の4つです。

  • 名称の変更
  • 責任範囲の拡大
  • 保証の内容
  • 責任期間の延長もありえる

名称の変更

今回の法改正により「瑕疵担保責任」という名称は削除され、新たに「契約不適合責任」という名称に変更されることになります。

責任範囲の拡大

名称が瑕疵担保責任から契約不適合責任となることからも想像できるように、責任の範囲が拡大されることになります。

これまでは売主も知らなかった欠陥(瑕疵)に対しての保証でしたが、これからは契約内容すべてに対して、不適合箇所があれば売主は責任を負うことになります。

保証の内容

これまでの瑕疵担保責任では、瑕疵が発見されても買主は売主に対して「損害賠償請求」か「契約の解除」を申し出ることしかできませんでした。

しかし改正後は「補修請求」や「売買代金減額請求」ができるようになります。これは売主側からすればかなり不利な材料だと言えます。

責任期間の延長もありえる

これまでの瑕疵担保責任では、契約書などにより特別な決まりをつけてないかぎり、期限は「瑕疵を知ってから1年以内に請求すること」と決められていました。

今回の法改正でも、この期限に変わりはないのですが、もし売主が瑕疵を知りつつ譲渡した場合、もしくは瑕疵の有無について売主に重大な過失があった場合は、
保証の期限が5年まで延長されることになります。

これは一般的な消滅時効と同じ期限なので、かなり重いペナルティーだといえるでしょう。

危険負担とは

危険負担とは、マンションの売買契約後、売主・買主どちらにも責任が無い事由により、物件の引渡しができなくなってしまった場合の取り決めになります。

危険負担の内容

例えば、無事に売買契約が終わり、2日後の日曜日には物件の引渡しも決まっていたとします。しかし、地震や台風などの災害によって該当マンションが損壊してしまいました。

当然、物件の引渡しは不可能です。さてこの場合、売買契約自体はどうなってしまうのでしょうか?

一般的な法律の解釈を適用するなら、売買契約が終わっているので建物の所有権は買主側にあり、買主は売主に対して売買代金の支払いをしないといけません。

つまり、購入した商品(マンション)は無いのに、お金だけを支払わないといけない決まりなのです。これでは買主側があまりにも可哀想ですよね。

特に不動産の場合は住宅ローンを利用することが多く、

「契約 → 決済 → 引渡し」

というようにタイムラグが生じるため、

「契約日 = 引渡し日」

とはいきません。その間に万一災害などが発生してしまうと、契約時の状態で引渡しができなくなるケースが出てきます。

そこで、一般的な不動産取引で用いられるのが、「危険負担」という特約です。

売買契約書内にて、以下のように売主の負担とする特約を定めるのが一般的です。

「当物件の引渡が完了する前に天災、または売主や買主のいずれの責でもない事由により当物件が損壊したときは、売主は当物件を修復した後、買主に引渡しをするものとする」

つまり、地震や台風などの天災、もしくは隣家の火災の延焼など、売主と買主どちらにも責任がない状態で建物が損壊・破損した場合には、売主が修理をして買主に引き渡す、という約束になります。

これを、「売買契約における危険負担の特約」といいます。

民法改正で危険負担も改正される

今回の民法改正により、この危険負担の項目にも変更が生じます。主な改正ポイントは以下の2つです。

  • 権利移動日の変更
  • 契約解除の理由

こうやって文字にすると難しく感じると思いますので、具体的な例を挙げながら解説していきたいと思います。

権利移動日の変更

現行民法では売買契約が締結した時点で、マンションの権利は買主へ移動されていたことになっていました。つまり実際に物件の引渡し前であっても、売買契約が締結していれば、そのマンションの権利は買主に移動していることになっていたのです。

ですので、物件の引渡し前に災害や火災で物件が損壊してしまっても、契約は成立しているのだから、買主は売主に対して契約代金を支払う義務が発生していました。

それが改正民法では、物件の引渡しと同時にマンションの権利が買主に移動することになりました。つまり物件は引渡してもらえないのに、代金だけ支払うという理不尽な契約ではなくなったということです。

契約解除の理由

改正民法では危険負担について以下のように書かれています。

「債務者の責めに帰すべきことができない事由について、契約解除の申し出ができる」

この「債務者の責に帰すべき事由」というのは、売主や買主など、契約相手に落ち度がなく、責任を追及することができない事案という意味です。

つまり台風などの災害により、引き渡す予定だったマンションが倒壊してしまった。これは十分この内容に該当する事由となるでしょう。

では放火による火災はどうでしょう?

いっけんするとこれも売主には落ち度がないように思われます。しかし、売主の自宅周辺で放火による不審火が多発していたらどうでしょう。売主は放火に対する対策を何かしら出来たのではないかということで、100%売主に過失はないといい切れなくなります。

このような場合、「売主の危機管理が不十分だった」と主張する買主が現れるかもしれません。そしてそれを理由に損害賠償等の裁判を起こされても不思議じゃないように思います。

そういったリスクまで考えながら、今後は不動産の売買契約書も作られていくことになると思いますが、改正後はいろんなトラブルも発生すると予測できるので、契約書のチェックを細かく行うようにしましょう。

まとめ

今回紹介した「瑕疵担保責任」と「危険負担」ですが、どちらも民法改正に関係してくる事案です。

記事のなかで2020年6月1日からの法改正だと記載していますが、完全施行するのが2020年6月1日であり、2018年現在すでに改正民法に沿った契約内容に変更している不動産業者もいます。

これから中古マンションの売買を考えている人にとって、どちらも見過ごせない項目だと思いますので、納得できるまで仲介業者の営業マンに説明をしてもらい、自分たちにとって不利な契約内容になっていないか?契約書の隅までしっかりとチェックしておくようにしましょう。

どんなに理不尽な内容が記載してあるとはいえ、一度サイン捺印をしてしまったら、その契約書に書かれている内容が最優先されてしまいますので、絶対に安易な気持ちで契約書にサイン捺印しないようにしましょう。

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