離婚したためマンションを売りたい

離婚が原因でマンションを売る

人生には色々な転機がありますが、夫婦の離婚は特に大きな転機の一つです。離婚の原因は様々だと思いますが、最近増えているのが離婚時のマイホームトラブルです。

結婚後に買った家やマンションは、夫婦の大切な共有財産ですから、離婚時にどちらが所有するかで揉めるケースが多いです。

財産分与するにしても、不動産は物理的に割って分けあうことはできません。今回は、この離婚時のマイホームトラブルについて、詳しく解説します。

【目次】離婚が理由で売却する場合
  1. 3種類ある財産分与を理解しよう
  2. 離婚時にマンションを売却する場合
    1. 売りたくても売れないケースがある
    2. できるだけ高く売却するためには?
  3. 売却しない場合、または売るかどうか迷っている場合
    1. 売却しないのであれば不動産鑑定士へ依頼しよう
    2. 査定額が出たら財産分与の話し合いをする
  4. 実例としてよくある3つのパターン
  5. まとめ

まずは財産分与の考え方を理解しよう

離婚に関する話し合いをする際、必ず知っておかなければならないのが「財産分与」です。

簡単に言えば、「夫婦の財産をお互い公平に分けましょう」という制度ですが、いざその立場になってみると簡単な話ではなくなります。

これを理解しないと、マンションを売却する際にもトラブルの原因となりますので、しっかり抑えておきましょう。

財産分与には3種類ある

財産分与の基本となる考え方を整理してみましょう。一言で財産分与と言っても、大きく分けて3種類あります。

  • 清算的財産分与
  • 扶養的財産分与
  • 慰謝料的財産分与

代表的な財産分与となるのが「清算的財産分与」です。これは「結婚後に夫婦で築き上げてきた共有財産を、離婚にあたって公平に分与する」という考え方に基づいた制度です。

この場合、どちらの名義の財産かどうかは問題となりません。夫の給料で購入したからと言っても、結婚後に購入したものであれば夫婦の共有財産と考えます。

登記簿上の名義に関しては、

  • 夫名義
  • 妻名義
  • 夫婦の共有名義

の3つのパターンが考えられますが、いずれの場合であっても名義人だけに権利(所有権)が発生するものではありません。夫名義のマンションであっても、それは夫婦共有の財産とみなします。

たとえば専業主婦だったとしても、離婚をする際には二分の一を請求する権利が裁判でも認められているので、清算的財産分与の際はしっかりと権利を主張することが大事です。(もちろん夫と妻が逆の立場でも同じです)

その他の財産分与としては、離婚に伴って夫婦のいずれかが困窮してしまう際に行う財産分与を「扶養的財産分与」と呼び、何らかの慰謝料を含めた財産分与を「慰謝料的財産分与」と言います。

今回はマンションの売却に関する話ですから、話をシンプルにするために「清算的財産分与」の前提で解説します。

離婚時にマンションを売却する場合

では、離婚時にマンションを売却するケースについて考えてみましょう。

冒頭でも書きましたが、家やマンションなどの不動産は物理的に分けることができないので、離婚時の財産分与でもっともトラブルになりやすい資産だと言われています。

これが現金であれば、単純に半分の金額をお互いで分ければ済む話ですが、マンションの場合はそうはいきません。現金と異なり、「実際の価値がわかりづらい」からです。

マンションを物理的に分けることができない以上、もっともシンプルな解決策は、夫婦どちらもマンションには住み続けず、「マンションを売却したお金を二等分する」方法です。

今まで住んでいた家を売却するのは、心理的に抵抗があるかもしれませんが、売却することにお互いが納得しているのであれば、あとは「いかに高くマンションを売却するか」だけを考えればよいからです。

売りたくても売れないケースがある

とはいえ、マンションを売却するのも実は簡単な話ではありません。なぜなら、ほとんどの人は住宅ローンを使ってマンションを購入しているからです。

住宅ローンの債務が残っている状態でマンションを売却するためには、

  • マンションの売却金で残りの住宅ローンを完済する
  • 売却金額だけで足りない場合は不足分を現金等で補填する

このどちらかが必要です。

前者に当てはまるのであれば何の問題もなく、ローンを完済して残ったお金を夫婦で分けあえばよいでしょう。

しかしマンションの売却金額だけでローンを完済ができない場合は、ある程度の額を現金等で補填しなければなりません。

夫婦の貯金にそれだけの余裕があればいいのですが、貯金に余裕がない場合は、夫や妻の親族に相談して一時的にお金を貸してもらうなどの対策を考える必要があります。

何の対策も打てない場合には、最終的にマンションを「任意売却」や「競売」で売却することになりますが、これだと普通に売るよりもかなり不利な額になってしまう可能性があるので、できれば避けたいところです。

不動産以外の財産を処分して補填分の現金を作ったり、少しでも高くマンションが売却できるように不動産業者に働きかけるなど、できる限りの努力をしましょう。

時間が経てば経つほど精神的にも大変になってくるので、離婚が決まったらなるべく早めに動くことをおすすめします。

できるだけ高く売却するためには?

離婚時の負担を減らすためにも、マンションはできる限り高値で売却したいものです。

マンションを高く売るコツについては他の記事でも解説していますが、一番大事なのは「不動産業者(仲介業者)選び」です。

不動産業者の良し悪しで、売却額が百万円単位で変わってくることもあるので、必ず複数の業者を比較してから決めるようにましょう。

どの業者に依頼すればよいかわからない人は、まずは「マンション.navi」を使って複数の業者に一括査定を依頼してみましょう。

マンション.naviには大手から地元業者まで、多数の業者が登録されているので、各社の査定額を比べやすいです。

また、今住んでいる地域が東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、京都、奈良の中ならば、「SRE不動産(旧ソニー不動産)」がおすすめです。

SRE不動産は、マンションの売主にとって不利になる「両手仲介」をしないという特徴があるので、対象地域の人はSRE不動産へ査定を依頼してみましょう。

その他、業者選びの細かい注意点については、「マンション売却のおすすめはどこ?高く売るなら仲介業者選びが超重要!」の記事で解説しているので、そちらを参考ください。

売却しない場合、または売るかどうか迷っている場合

続いては、離婚後もマンションを売却する気がない人、または売ろうかどうかまだ迷っている場合について解説します。この場合は、売却時よりもさらに揉めやすいため、お互い冷静に話し合って進める必要があります。

離婚後であっても、夫か妻のいずれかがマンションを所有し続けるケースは多いです。そのまま住まいとして生活を続けたり、あるいは収益物件として活用するケースも少なくありません。

しかし、マンションを物理的に分割して分けることはできないため、このケースでは「現時点でそのマンションにいくらの価値があるのか?」を正確に算出してもらい、それをもとに財産分与の額を話し合う必要があります。

マンションの価値を正確に算出するためには、固定資産税評価額や実勢価格(実際にどのくらいで売れるのか)といった複数の指標があります。

固定資産税評価額は役所で尋ねれば知ることができますし、役所から郵送される課税証明書にも記載されています。しかし、マンションの取引市場の価格よりも2割から3割ほど安価になっているため気をつけなければなりません。

より正確な価値を知りたいのであれば、固定資産税ではなく、実勢価格で評価してください。実勢価格とは「市場に出した場合、どれくらいの価格で売れるのか?」を試算した見積り額のことをいいます。

この実勢価格を調べる方法としては、不動産業者に売却査定を依頼したり、不動産鑑定士に依頼する方法などがあります。

売却しないのであれば不動産鑑定士へ依頼しよう

査定を依頼する際のアドバイスですが、マンションを売る可能性が高い場合は不動産業者に、売るつもりがない場合は不動産鑑定士に依頼するのがよいでしょう。

不動産鑑定士に依頼した場合は、調査費用がかかるので損するように思うかもしれませんが、これには理由があります。

不動産業者に査定依頼をした場合、ここで提示される金額は必ずしも適切な金額ではなく、不動産業者が売買契約を取りたいと思って、相場よりも高めの金額を出してくるケースがあるからです。

不動産業者側としては、当然ですが物件を査定しただけでは利益は出ず、実際に売買しないことには査定をする意味がありません。ですから、時には本来の査定額よりも高く(あるいは低く)見積もって、売主と契約しやすいよう調整してくることがあります。

一方で不動産鑑定士の方は、鑑定士することこそが仕事であり、それで料金を得ているので、そのような心配はありません。ですからより正確な査定を行いたければ、有料ですが不動産鑑定士へ依頼する事をおすすめします。

多少お金がかかりますが、専門家による評価があった方がお互いに納得できると思うので、マンションを売却しないで財産分与するのであれば、不動産鑑定士への依頼を検討してみましょう。費用としては2万円から3万円程度見ておけば十分です。

ちなみにマンションの資産価値を算出する時は、マンションを手に入れた時の購入金額は一切関係ありません。仮に5,000万円で購入したマンションだとしても、離婚時に同じ金額で売れることはなく、ほとんどのケースで値段は下がるためです。

※不動産業者のすべてがいい加減な査定をしているという意味ではありません。不動産業者の査定はあくまでも無料のものですから、不動産鑑定士が行うものに比べれば簡易的なものであるという意味です。

マンションの査定額が出たら

マンションの査定額が出たら、それをもとに財産分与の話を合いを進めましょう。

もし夫がマンションに残って妻が出ていくというケースであれば、妻側はマンションの評価額に相当する金銭を請求することができます。

例えばマンションの査定評価が1,000万円だったとすれば、妻は夫から1,000万円の金銭、またはそれに相当する財産を分与してもらう形になります。

ただしここでよく問題となるのが、マンションの価値に相当するだけの現金や他の資産がなく、妻側への支払いができないというケースです。これはトラブルの原因としてかなり多いです。

家やマンションなどの不動産は、夫婦で購入する財産の中でも飛び抜けて金額が大きく、しかも何十年にもわたるローンで購入する資産です。

当然、それに相当するだけの現金を急に用意するのは難しいため、一括での支払いができない場合には、分割での支払いを要求するなど、ケースバイケースで対応を決める必要があります。

※ただし住宅ローンが残っている場合は話が別です。仮に1,000万円の住宅ローンが残っていれば、そのマンションの価値1,000万円から負の財産(住宅ローン)の1,000万円を差し引かなければならないので、プラスマイナス0となります。

夫がマンションに住み続けることになっても、同じくマンションの負債1,000万円も背負うことになるので、妻がマンションの価値に値する資産を受け取る権利はありません。

浮気などが原因で離婚する場合は揉めやすい

余談ですが、どちらかの不貞行為(浮気や不倫等)が理由で離婚する場合は、なかなか話し合いがまとまらないことが多いです。

やはり浮気された側には感情的なしこりが残るため、「少しでも多く財産をもらわなければ気が済まない」という気持ちになるからです。

しかしこれは財産分与とは別の話で、慰謝料という問題で考えるのが望ましいです。財産分与と慰謝料を混合してしまうと、まとまる話もまとまらずに、ただただ話が長引き、それだけ嫌な思いをする期間が続きます。

実例としてよくあるパターン

ここまでで離婚時のマンションの扱いについて、大まかな方針を解説してきましたが、実際には色々なケースがあります。

  • 夫が住宅ローンを払い続けながら所持する
  • 慰謝料や養育費代わりに妻が所持し、住宅ローンは夫が払う
  • 賃貸として貸出し、その賃料を妻が養育費や慰謝料として受け取る

その中でもよくあるのがこの3つのケースです。それぞれについて注意点などを解説します。

夫が住宅ローンを払い続けながら所持する

これは売却以外では一番多いケースです。このケースで問題となるのが、妻や妻側の家族が連帯保証人となっている場合です。

最近は共働きも増えており、住宅ローンを夫婦合算(ペアローン)で借りいていたり、夫婦の共有名義にしているマンションも少なくありません。

この場合、いくら離婚したからいっても、将来的に住宅ローンの返済を滞納すると、連帯保証人や共有名義となっている妻側に一括返済の義務が発生します。離婚をしたからといって、連帯保証人の義務が消滅することはありませんので注意が必要です。

ちなみに離婚した場合でも、住宅ローンの保証人を抜けることは簡単ではありません。ほとんどのケースでは住宅ローンを融資している銀行がそれを認めないからです。

慰謝料や養育費代わりに妻が所持し、住宅ローンは夫が払う

慰謝料や養育費の代わりに、財産分与として妻がマンションに住み続け、夫が住宅ローンを払うというケースもよくあります。この時、マンションが夫名義である場合は注意が必要です。

財産分与に関する話し合いで、妻がマンションに住み続けることに合意したといっても、名義が夫である以上は、夫の意志ひとつでマンションを売却する事ができてしまいます。

また、元夫が住宅ローンの返済を滞納した場合、妻が住んでいるマンションが強制差し押さえされる可能性もあります。

それなら離婚時に名義を妻に変えておけばよいのでは、と思うかもしれませんが、住宅ローン返済中の物件の場合、原則マンションの名義人を変更することはできません。

後々トラブルにならないためにも、離婚後の住宅ローン返済などについては十分に話し合っておく必要があります。

賃貸として貸出し、その賃料を妻が養育費や慰謝料として受け取る

離婚後はどちらもマンションには住まわず、誰か別の人に部屋を貸して賃料を得るというケースも珍しくありません。この場合、部屋の賃料を養育費や慰謝料代わりとして妻が受け取るケースが多いようです。

しかし、先ほどのケースと同じで、名義人が元夫になっている場合は注意が必要です。住宅ローンの滞納などがあれば、賃貸として貸している部屋でも差し押さえられてしまうからです。

さらに別のトラブルとして、入居者が家賃を対応する可能性も考えなければいけません。家賃滞納は決して珍しい話ではありませんし、万が一賃料の一部を住宅ローンの返済に充てる計画になっていた場合は滞納の危機となります。

大家としてマンションを管理するのは想像以上に手間がかかるので、どうしてもという理由がない場合は売却する事をおすすめします。

まとめ

今回解説したように、離婚によってマンションを財産分与するためには色々な準備や話し合いが必要になります。

もっともシンプルな方法はマンションを売却することですが、売却するためには住宅ローンの返済を考えなければならないので、できる限りマンションを高く売るか、足りない分を現金等で補う必要が出てくるかもしれません。

離婚時は引越しや新居費用など、何かと出費がかさみます。これは夫婦どちらにとっても大きな負担です。その負担を少なくする方法は、少しでもマンションを高額で売却することです。

不動産以外の財産については、さほど時間はかからず分与できると思うので、離婚が決まったら真っ先にマンションをどうするかを話し合い、売却する方法に決まったのであればすぐに売却の準備に取りかかりましょう。

マンション売却のおすすめはどこ?高く売るなら仲介業者選びが超重要!

目的別の仲介業者選びまとめ

  • できる限り高く売りたい
  • 急いで売って現金化したい
  • なかなか売れなくて困っている
  • 賃貸にしようか迷っている
  • 買取専門の業者を探している
  • ローン残債があるけど売りたい