都市と地方の二極化に見る昨今の不動産事情

都市と地方の二極化に見る昨今の不動産事情

2014年の不動産取引額は5兆円を超え、不動産市場は今、「ミニバブル」にあると言われています。この活況は、経済政策による株価上昇や円安ドル高を背景としており、好景気がいつまで続くのかに注目が集まっています。

しかし残念なことに、日本全国の不動産市場が好調なわけではありません。

不動産価格が上がっているのは都市部だけで、地方の不動産価格は軒並み下落しています。都市部と地方の不動産市場には大きな隔たりが生まれ、「都市と地方の二極化傾向」が色濃くなっています。

今回のコラムでは、都市部と地方の不動産事情の温度差に焦点を当ててみたいと思います。都市と地方のそれぞれで、今何が起きているのかを見ていきましょう。

「ミニバブル」状態の都市部

都市部の不動産価格高騰を支えているものは、株価上昇とデフレ脱却を謳った経済政策の「アベノミクス」だとされています。

実際の賃金が上がったと実感する人はまだ少ないのが現状ですが、大企業の業績は好調に推移し、一時は株価が2万円台に乗るなど、経済指標はどんどん好転しています。

株価が上がったことで、富裕層の資金力はますます強固なものとなりました。富裕層は利回りのよい投資対象を探して、さらに資産を増やそうと考えます。

そこで、まとまった頭金が必要なマンションなどの不動産が投資対象となり、不動産売買が活発に行われたようです。

また、2020年のオリンピック開催が決まったことも都市部の不動産価格上昇に貢献しています。インフラのさらなる整備が見込まれることや、近隣地域の注目度が一気に上がったこと、さらには、税制改正のあった相続税対策を背景として、湾岸部を中心とした高級タワーマンションが飛ぶように売れています。

海外投資家の動きも見逃せません。円安を目指すための政策発動により、為替レートは1ドル120円台に突入しました。

民主党政権時代の2011年10月には、戦後最高値の一時1ドル75円32銭にまで円高が進んだことを考えれば、この4年あまりで、およそ45円も円安になったことになります。

円安が進んだことで、海外投資家の目が日本市場に向けられました。一例をあげれば、割安な日本の不動産を中国人の富裕層が買い付けに走ったと言われています。

このような状況が複合的に作用し、都市部の不動産価格が上がり、「ミニバブル」と称される状態となっています。

国土交通省の発表によると、東京や大阪などの大都市圏では、住宅地の基準地価が2年連続で上昇しました。

最近では、中国経済の先行き不透明観測が流れ始めていることもあり、海外マネーが日本の不動産に向かわなくなる可能性もあります。今後の推移をよく見守っていく必要があるでしょう。

いずれにしても、都市部の不動産価格が上がっていることは、不動産業界のトレンドとして押さえておいてください。

一方の地方はというと・・・

地方の不動産事情は、都市部とは異なる状況にあります。

その理由のひとつに、人口減少による地方の空洞化をあげることができます。人口が減れば、住宅の需要が落ちます。住む場所を必要としないからです。それに伴い、不動産価格も下がっていきます。

さらに地方は、人口減少の問題だけでなく、都市部への人口流出という課題も抱えています。結果として、都市部の住宅需要は安定しますので、都市部の不動産価格だけが持ち直し、上昇するという流れになります。

2015年4月18日付の日本経済新聞では、「秋田(1.26%減少)と青森(1.08%減少)では県外に移り住む人が増えた影響が大きくなった」とし、「地方から都市部への人への流れが強まった」と結論付けています。

このような人口流出が、地方の不動産価格の低下を招く原因のひとつとなっています。

実際の価格変動については、このような問題だけが原因となっているのではなく、さまざまな要素が複雑に絡み合っています。しかし、人口減少が地方の不動産価格下落の一因であることは間違いありません。

地方でクローズアップされる「空き家問題」とは?

今、地方を中心として、「空き家」の増加が重大な問題として語られています。

長期に渡って誰も住んでいない住宅が空き家として定義され、短期的な旅行で留守にしている場合や、別荘としての利用のために利用頻度がそう高くない場合は除きます。

この空き家問題は、特に地方において顕著に表れています。

その理由のひとつに、価格下落の原因にもなった人口の空洞化があります。地方から都市部へ人口が流れているために、一軒家をはじめとする住宅が使われなくなり、そのまま放置されているケースが増えているというわけです。

地方から都市部に拠点を移して働いている若い世代はとても多くいます。

そのまま都市部で生活をすることになれば、地方に残されたのは親世代ということになりますが、親世代が永遠にその家に住み続けることはできません。いつの日か、相続の問題に直面することになります。

親世代の子供たちが都市部で仕事をし、そのままの生活を続けていくのであれば、子供が地方の家を相続したとしても、地方の家はそのまま使われない可能性が高くなります。

さらに、相続人がいない財産としてそのまま放置されるケースが増えているのも実情です。少子高齢化がもたらす問題のひとつだと言えるでしょう。

もちろん、相続人たる子供たちが、残った住宅を貸家として活用することも考えられます。しかし、建造からすでに何十年も経過している場合は、そのままでは貸家物件として利用することも難しくなります。

新築物件のように綺麗にするためにも修繕費用がかかるため、リフォームすることもためらわれ、結果的にそのまま放置されることがあるのです。

これが、地方に増えている空き家問題の現状です。地方から都市部への人口流出と、核家族化の増加という家族形態の変化が影響していることが分かります。

空き家のなにが問題?

総務省の発表によれば、住宅地の空き家率はなんと13.1%にも及びます。この数字は、住宅8戸に1戸の割合で空き家であることを意味します。

空き家を放置しておくと、未成年者の溜まり場や、思いもよらない犯罪の温床になったり、動物や害虫の住処となって悪臭が漂うなど、近隣住民への迷惑となることが想定されます。

また、老朽化が進んだ空き家は倒壊リスクもあり、放置される時間と共にさまざまな問題が浮上します。

空き家の所有者が対策を講じている場合はまだよいのですが、誰も管理を行っておらず放置されているケースは対処がとても難しくなります。

近隣住民が空き家対策を行いたいと考えても、所有者の許可がなければ行うことができません。不動産登記簿を見れば、一応の所有者はわかります。

しかし、登記簿上の所有者が遠方にいて連絡がつかなかったり、すでに亡くなってしまっている場合にはどうすることもできません。

役所などの行政に依頼をしたとしても、住宅はあくまでも個人所有の財産なので、行政が強制的に処分するわけにもいかず、手をこまねいている状態だったのです。

空き家を放置するだけで、税金が優遇される!?

このような空き家が増えている背景には、核家族化や少子高齢化に一因があると言われていますが、税金の問題も見逃すことはできません。

更地よりも住宅が建っている土地のほうが固定資産税が安くなるため、必要のなくなった住宅をあえてそのままにしておくケースが後を絶たないのです。

空き家を処分し、更地にしてしまった場合、固定資産税が更地の時に比べて6倍にも跳ね上がります。そのため、空き家を放置しておくことが、固定資産税の節税対策となっていました。

住宅を処分するためには、解体費用がかかります。そのうえ、毎年徴収される固定資産税が上がるともなれば、そのまま放置しておきたい気持ちは容易に理解することができます。

このような問題が浮き彫りになってきたため、国の政策として、空き家問題に対処するための法律がつくられました。2015年2月26日に施行された「空き家対策特別措置法」です。

これまでは、行政側が空き家対策を積極的に行うことができませんでした。そこで、空き家対策特別措置法では、空き家の調査から強制的な対処に至るまでの対策を可能としました。

詳しくはこちらの「5分で分かる!空き家対策特別措置法のポイント」の記事で説明していますが、今後節税対策として空き家を放置することが意味をなさなくなるので、空き家対策を講じようとする所有者の増加が期待されています。

地方の不動産は、どう活用すればいい?

ということで、今回は地方における不動産価格の下落傾向と空き家問題を見てきました。

問題の根幹にある人口減少は、今後さらに進むものと考えられていますから、地方の人口空洞化が止まることは考えにくいでしょう。

「地方創生」が政策課題に掲げられて久しいですが、地方経済が現状よりも活発になるのは少なくともまだ時間がかかりますし、地方活性化政策が成功するとも限りません。

しばらくは、都市部と地方の二極化が進むものと思われます。

したがって、今後も不動産価格は下落傾向を続けるものと考えられます。地方の不動産を所有している場合には、資産価値の低下を避けるために、なんらかの対策を施す必要性があります。

もし今後さらに価格が下落していくのであれば、これ以上に下がらないうちに売却してしまうことも有効な選択肢となります。

地方の不動産を所有していて、活用の予定がない場合には、「どのくらいの価格が付くか」を調べてみてもよいでしょう。購入時から価値がどのくらい目減りしているのかを把握することは、売却を前提としなくても有益です。

他のページでも紹介していますが、最近はインターネットの一括査定サービスで、不動産の価格が簡単に調べられるようになっています。

新たな活用方法を検討するうえでも、今現在の価値を知ることは大きな参考指標となりますし、税金対策を講じるうえでも資産価値を計ることは非常に重要なので、一度試してみるといいでしょう。

また、最近では、更地を月極の駐車場にしたり、コインパーキングとして活用する地主が見受けられます。コインパーキング事業を行っている企業に一定期間貸し出すことによって、ローリスクでの土地活用が実現できます。

地主自身で駐車場経営を行う場合もありますが、その場合はアスファルトやコンクリートを敷かなければ、税制上のメリットを受けられないことに注意してください。

ただ単に砂利を敷いただけの青空駐車場では、税務上、更地と同じことになってしまうのです。

なにも知らないまま、「とりあえず駐車場にする」ことは危険が伴いますので、住宅取り壊し後の土地活用を考えるのであれば、不動産会社などの専門家に相談してみるとよいでしょう。

それから、もう一つ空き屋対策としてよく考えられるのは、第三者に対して「賃貸し」をするという選択です。

これなら上手くいけば毎月の収入を得られるのでメリットが大きいですが、やはりそう簡単に上手くいくとは思えません。特に地方においてはかなり条件が難しくなってきます。

不動産の賃貸に関しては、「賃貸で一時的に貸すのは損か得か?」のページで詳しく説明しているので、興味がある人は参考にしてみてください。

まとめ

地方の不動産はこれまで、投資物件として購入されるケースが多くありました。比較的安い価格で購入できることから、都市部の物件を購入するよりも投資のハードルが低かったからです。

しかしこれからは、先ほどから述べている人口減少の問題がより大きくなっていくことが予想されます。そうなれば、住宅の需要そのものがますます低下し、投資物件の空室リスクがさらに高まります。

必然的に価格も下がり、資産としても低評価の物件となってしまいますので、投資物件として地方の不動産を購入することは、これまでよりも慎重に行う必要があります。

もし今、地方の不動産の売却を検討しているのであれば、なるべく早めに動いたほうがよいかもしれません。

さきほどの空き家対策特別措置法で規定された固定資産税の軽減措置の見直しや、改正されて負担が重くなった相続税など、自分の資産について考えるきっかけとすべき出来事が相次いでいます。

不動産を所有しているのであれば、現在の資産価値を正しく把握し、適切な活用を検討すべき時期にきていると言えるでしょう。

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