山林の購入・売却の注意点、評価と固定資産税

山林の購入・売却の注意点、評価と固定資産税

最近は田舎暮らしや古民家ブームもあり、山林への注目度が集まっていますが、同時に山林の扱いに困っている方も増えてきています。

今回は山林の売買について、購入者の立場と売却者の立場で注意点などを解説します。

一般的な不動産会社は、山林の売買に対して消極的です。売却の依頼すら引き受けてくれないところも多いでしょう。

そうなると、遺産相続などで突然山林を所有してしまった人は困ってしまいますよね。

山林を持っているということは、土地を所有しているということなので、毎年固定資産税が発生します。管理ができていない場合は近隣から苦情が出ることもあります。

購入する場合においても、売却する場合においても、しっかりと管理方法や注意点を理解して、適切に対応しましょう。

山林を購入する時の注意点

まずは山林を購入したいと思っている人向けに、いくつかの要点を解説しておきます。

  • 不動産業者の仲介手数料が発生しない
  • 物件探しは専門の機関やサイトを利用する
  • 建物が建てられない山林もある
  • 山林購入時は必ず値引きの交渉をすること

山林に興味があり、真剣に購入を検討している人であれば知っているかもしれませんが、本当に何も知らない人にもわかるように、初歩的なことから解説しますのでご了承ください。

不動産業者を通さないので仲介手数料は発生しない

一般的な家やマンション、土地の売買のように宅地建物取引業法には該当しないため、山林は宅建取引主任者の仲介がなくとも売買契約を締結することができます。ほとんどの山林は、不動産会社を通じての売買はしていません。

当初から購入した山林に自宅や別荘を建てる計画があるのでしたら、宅地建物取引業法に該当してしまうため、建取引主任者の介入のもと仲介手数料が発生することになります。

つまり、建物の建設予定がなければ、売主と買主双方の合意のもと個人間で売買契約を成立させることもできますし、司法書士などに登記を依頼して立ち会ってもらうだけでも問題なく売買は成立します。

個人間で売買契約から登記まで行うのであれば、登記費用だけですみます。司法書士などに依頼した場合でも、山林の規模にもよりますが、おおむね10万円以内で引き受けてくれることが多いようです。

物件探しは専門の機関や専門サイトを利用する

山林の物件探しは、不動産会社に依頼しても取りあってくれないケースが多いです。相談をしてみるだけなら、勉強になることを教えてくれるかもしれません。

しかし、本気で山林の物件探しをしようと思っているのであれば、不動産会社よりも山林の取引に長けた業者に依頼することをおすすめします。

山林の取引に長けたというのは、「森林組合」や、「山林売買の専門サイト」などのことです。森林組合が直接的に売買の仲介をしてくれることは稀ですが、売却希望者と購入希望者の橋渡し的な役割を担っているケースは少なくありません。

ですので、自分がこの山林が欲しいという明確な物件があるのでしたら、その山林を管轄している森林組合にお願いして、地主を紹介してもらったりすることもできます。

ただし山林と呼ぶには小規模な裏山程であれば、森林組合などに頼らずとも自分で法務局に行って登記簿を取得すれば、持ち主くらいはすぐに特定できます。あとは直接訪問して、売却の相談をしてみるのも良いかと思います。

特に、持ち主が代替わりしていて相続した山林であれば、「タダ同然でもいいから売りたい」と思っている売主も珍しくないので、安値で購入できる可能性があります。

山林を購入して必ずしも建物を建てたりできるとは限らない

山林を買って、そこにログハウスでも建てて悠々自適な生活を考えている人も多いかと思います。しかしいくら自分名義の山林だからといっても、自由に建物を建てたりできないケースも珍しくありませんので、そこは購入前にしっかりとした調査が必要になります。

通常の不動産会社では山林事情に詳しくないので、建物を建てたりする計画があるのでしたら、山林売買の経験が豊富な業者に依頼することをおすすめしておきます。

基本的に市街化調整区域以外であれば、建物を建てることができます。都市計画区域外にある山林なら、一般的な住宅程度の家を建てるのに、建築確認などの届出をする必要すらありません。

このように、法律では拘束されない緩い一面があるのも、山林で田舎暮らしをする良さでもあるのではないでしょうか。

ただし日本国内において、山林の多くがさきほど言った「市街化調整区域」に該当していますので、注意が必要です。たとえ市街化調整区域であっても、林業の専従者など一定の条件をクリアすれば建物を建てることはできます。

価格はあってないようなもの。必ず値引きの交渉をすること

ここまで読んでもらって、ほとんど山林の価格について触れていないことにお気づきの方もいると思いますが、山林の価格というのはあってないようなものです。

住宅用地のように取引事例が多くないため、山林の相場というのは基本的にありません。その山林の持ち主が坪10万円といえば坪10万円ですし、坪500円といえば500円で取引することができてしまいます。

過去に取り扱った裏山というのも3,000坪くらいの雑木林だったのですが、最終的には坪1,500円の450万円で売買が成立しました。きっと民家に近いこともあり、この価格での売買ができたと思いますが、一般的には坪1,000円未満での売買の方が多いです。

基本的に山林の価格は4つの考え方ができます。

  • 民家も多くあるような地域の山林(裏山などの雑木林含む)
  • 少し人里離れているが車で行き来できる道路がある
  • 林業や水源を目的に売買される山林
  • 林業もできないような道も何もない山奥

一般的には、上から順に坪あたりの価格も下がってくるのですが、近年では中国人などが日本の山林を投資目的で購入していることもあり、たとえ山奥であっても比較的高額な条件で取引された例もあります。

本当に安い場所なら、坪50円程で取引されることがあるというから驚きなのですが、山林の所有者にしてみれば「固定資産税の支払いや管理の手間を考えれば、タダでもいいから誰かもらって欲しい」というのが本音なのかもしれません。

このような事情もあり、山林は価格があってないようなものです。ですので山林の購入を検討しているのであれば、多少強気で値引き交渉するくらいの気持ちで問題ないと思います。

日本国内では、山林の需要と供給のバランスは圧倒的に供給側が多くなっていますし、それは売主側もわかっているので多少の値引きには必ず応じてくれます。

山林を売却する際の注意点

次は売主側の目線で解説していきます。その前に、なぜ山林を所有しているのか疑問に思いませんか?

このカラクリについて簡単に解説しておきます。

なぜ山林を所有しているのか?

山林を相続した人が真っ先に考えるのが、「なぜご先祖さんは山林なんて所有していたのだろう」ということです。たしかに相続が起こるまで、両親や祖父母が山林を所有していることさえ知らなかったという人もいます。

実家のある裏山ならわかりますが、行ったこともないような遠くの県の山林を所有していたということもあります。経験上、このようなケースの多くは「詐欺被害」にあっている可能性が高いと思います。

聞いたことがあるかも知れませんが、今から30年~40年ほど前に「原野商法」という詐欺まがいの商いが流行しました。

この原野商法の被害者は、驚くほど大勢いたと言われています。「今のうちにこの山を買っておけば、きっと将来価値があがる」、と騙されて購入してしまったのでしょう。

もし機会があったら、両親や祖父母に山林を所有していないか、確認してみるのもいいかもしれません。

山林を売却して一攫千金はない

ここまで読んで頂けていればおわかりかもしれませんが、民家が多い地域に近い裏山のような場所であれば、坪1,000円~坪5,000円くらいで取引されることもありますが、山林を売ってまとまったお金が入ってくることは滅多にありません。

人里離れているような山林であれば、よほど高品質の樹木が生育していたり、名水と呼ばれる水の水源があったりしない限り坪500円でも良い方ですし、坪100円を下回ることも珍しいことではありません。

ですので、山林を相続したからといって、「これでまとまった現金が手に入る」という考えはしないようにしてください。買ってくれる人がいるだけでもありがたいことですし、タダ同然でも良いので売却しておきたいくらいの気持ちでいるのが無難です。

2種類の売り方がある

300坪や500坪くらいの山林では出来ませんが、1万坪や10万坪という広大な山林になると、売却方法が2種類あります。

  • 山林をまるごと売却する
  • 樹木だけを売却する

きっと皆さんが山林の売却として考えているのは、「山林をまるごと売却」だと思います。たしかに、山林をまるごと売ってしまうのが、固定資産税の支払いや山林の管理のことなどを考えてもベストな方法だと思います。

ただし、所有している山林の規模が大きくなればなるほど、個人では対応できない金額になってしまうため、山林まるごとの売却は難しくなります。

そんなときに検討したいのが、もう1つの「樹木だけを売却する」という方法です。簡単に言ってしまえば、個人で林業をするようなものです。

ですが、林業を個人でするには莫大な投資費用が必要ということもあり現実的ではないので、山林に樹生している樹木だけを専門の業者に売却する、という方法もあります。

ただし相当数の広さがある山林でないと、業者側も買い取りしてくれません。目安としては、最低でも10ヘクタール(約30,000坪)くらいを考えておくのが妥当です。

測量は必要なのか?

住宅用地や駐車場用地を売買するとき、必ず隣地との境界を明確にする確定測量を実施します。山林の売買において、測量はどうしたらいいのでしょうか。

規模が大きい山林になれば、現実的に確定測量はできません。確定測量とは、隣接する土地所有者同士が立ち会いのもと行われる測量のことです。膨大な敷地を有する山林などは、隣接する土地だけでも凄い数になってしまいます。

一般的に山林の売買においては、確定測量や現況測量は実施せずに、法務局の登記簿に記載されている面積数(公簿面積)を元に、売買価格を決めるようになっています。これを公簿売買といいます。

山林を買う人には目的がある

住宅地域であれば、税金対策で土地を購入して、子供たちが将来家を建てるまで遊ばせておくこともあるのですが、税金対策として山林を購入する人はそういません。つまり山林を購入する人には、何かしらの目的があると考えておくのが良いでしょう。

老後は田舎暮らしでゆっくり過ごしたいという人もいるかもしれませんし、林業や農業目的で購入する人や、中国人のように投資目的で購入する人もいます。

ですが山林には、先にも話したように建物を建てることができない地域が多数あったり、土壌汚染の可能性があったり、予期せぬ事態を含んでいるケースもあります。

このような売却後のトラブルを防止するため、なるべく個人間での売買はせず、山林売買の専門家に仲介に入ってもらうことを強くおすすめします。

多少の費用はかかるかもしれませんが、不動産会社に仲介手数料を払ったと思えば決して高くはありません。もしも何か問題が生じたときに、専門家がいたほうが何かと円滑に進みます。

売却時の山林所得について

ここでは、山林を売却できた場合の税金の話を簡単にしておきます。

山林の売却には、基本的に「譲渡所得」と「山林所得」という2つの考え方があります。

「譲渡所得」とは、山林そのものを売却して得た所得のことをいい、「山林所得」とは、樹木を売却して得た所得のことをいいます。

山林所得はどれくらい払うの?

山林所得は、あくまでも樹木を譲渡して得ることができた金銭に課せられる税金です。所得していた期間などに対して優遇処置もあるのですが、細かく説明しても難しくなるだけなので、だいたいの税額を算出しておきます。

山林所得が200万円だった場合の山林所得税額は、約20万円になります。計算式は下記になります。

山林所得額200万円×5分の1×10%(税率)×5=20万円

大きく異なるのは、税率の分部です。これは山林所得額によって違います。

山林所得金額÷5の金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円超 330万円以下 10% 97,500円
330万円超 695万円以下 20% 42万7,500円
695万円超 900万円以下 23% 63万6,000円
900万円超 1,800万円以下 33% 1,53万6,000円
1,800万円超 4,000万円以下 40% 2,79万6,000円
4,000万円超 45% 4,79万6,000円

譲渡所得について

譲渡所得税は、売却価格から取得費を差し引いた金額に対して、一定の税率が課せられます。

最近では、購入時よりも価値が大幅にアップしている山林は少ないと思いますので、譲渡所得税が課せられるケースは少ないでしょう。

問題なのは先祖代々の山林であり、具体的な取得費用がわからない場合です。この場合は、「売却価格の5%を取得費として計上できる」など、一定の規則がありますので、詳しくは税務署などに聞いてみることをおすすめします。

1,000万円で山林を売却して、購入費用がわからなかった場合の一般的な譲渡所得税の求め方としては、購入費用は1,000万円の5%で計上するので、950万円の譲渡益が出たことになります。

950万円の譲渡益に対して、一定の税率(5年以上所有で約20%)をかけることになり、950万円×20%なので、約190万円の譲渡税を納めることになります。

ただし、購入費用がわかっており、それが売却代金の1,000万円を超えている場合は、譲渡益はマイナスとなるので譲渡税もかかることはありません。

山林の売買に掛かるその他の費用

山林の売買にかかる費用としては、山林所得や譲渡税を除けば契約書に貼付する印紙代と登記に関わる費用程度で収まります。

冒頭でも書いているように、山林の売買は不動産会社を通す必要がないので、仲介手数料を支払う必要もありません。

山林売買の専門業者に依頼すれば多少の費用はかかりますが、登記費用まで入れて20万円~30万円くらいを考えておけば大丈夫だと思います。

これらの費用を売主だけが負担する必要はありませんし、基本的に登記費用などは買主側の負担となるのが今は一般的です。

山林の相続にかかる費用、固定資産税

「将来的に両親が所有する山林を相続することになりそうだが、固定資産税はどれくらい払わなければいけないのか…」と、不安に思っている方も多いかと思います。

ここでは、山林の固定資産税や相続に関する費用について簡単に解説していきます。

山林の固定資産税は驚くほど安い

山林の固定資産税は、本当に驚くほど安いです。もちろん山林の中に家を建てたりしたら、宅地扱いになる可能性があるので話は変わってきますが、本当に何もない山だけであれば、毎年の固定資産税は数百円~数千円というのがほとんどです。

山林であれば、東京近郊でも九州でも評価額はさほどかわりません。例えば、東京近郊に1ヘクタール(3,000坪)ほどの山林を所有していたとします。おおかたの場合、山林のみだと評価額は5万円~20万円程度にしかなりません。

固定資産税の税率は2%なので、5万円の評価額であれば年間1,000円、20万円の評価額だったとしても年間4,000円程度です。

市区町村によっては、「規定の評価額に満たない場合は課税しない」というケースもあるので、山林を所有しているけど固定資産税は払ったことがない、という人もいます。

ただし、自宅の裏山や市街地に近い場所の山林では、宅地並みとはいいませんが、それでも高額な固定資産税の請求がくることもあります。登記簿をみて、地目が山林となっているからといって安心はできません。

山林を相続する場合の費用

山林を相続するといっても、相続税が発生するような広大な山林はそう多くないので、相続税に関してはあまり心配する必要はありませんが、問題は相続したあとの維持管理費です。

相続したということは、山林の登記名義を変更しなければなりませんし、毎年固定資産税も発生します。

何より面倒なのが伐採や間引きなど、維持していくためには労力と時間が掛かるという点です。

売却はしたくないが、維持管理していくほどの労力も時間もないというのであれば、地域の森林組合に維持管理をお願いするのが良いと思いますが、その場合は当然それなりの費用が発生します。

市区町村によっては、山林に対しての補助金制度があるので、まずは市区町村の担当課に相談することをおすすめします。

事業としての可能性

山林の売却で悩んでいるのであれば、今はチャンスの時期だと思います。以前売却を試みたけど買い手がみつからなかったという山林でも今なら売れるチャンスはあります。

理由は、冒頭でも書いているように、田舎暮らしや古民家生活というのがブームになっていることもありますし、それ以外でも投資目的で中国人などが日本の山林を購入しているからです。

太陽光発電システム事業が一般化したことで、広大な土地に太陽光発電パネルを設置して電力事業を計画している企業も少なからずあります。

ちょっと話が逸脱してしまうかもしれませんが、どうしても買い手がみつからないのであれば、自分で太陽光発電事業をやってみるという案もあります。

管理人の知り合いでも、家の裏山に30枚ほどの太陽光パネルを並べて、発電事業をやっている人がいます。毎月の返済を指し引いても、そこそこの利益になっているようです。

まとめ

2017年現在山林の価値は、全盛期の10分の1まで低下しているというのを、何かの本で読んだ記憶があります。

今後、また山林に対する評価が上がるという情報もあるようですが、不要なものを自分たちの子供の代まで残したくないと考えるのが親心だと思います。ですが、タダ同然でもいいから買ってくれる人を探しているけど、それすらもなかなか叶わないというのが今の山林売買の現状です。

山林の売買を考えているのであれば、金額よりもまず買ってくれる人をみつけることを最優先にしましょう。

山林の購入を検討しているのであれば、今は飽和状態なので焦って買い急がないことです。そうすれば、じっくり検討して強気の価格交渉で挑むこともできるでしょう。

売りたいのであれば、「タダ同然でも良いから買主をみつける」。購入を検討しているのであれば、「買い急がない」ということがポイントです。

買主がなかなか見つからなくて困っている人は、太陽光パネルを使ったソーラー経営で山林を活用する方法を検討してみるのも、1つの解決策になるかもしれません。

家を売るなら必ず知っておきたいチェックポイント

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