民泊の定義と現状の旅館業法との問題点、トラブル例

民泊の定義と現状の旅館業法との問題点、トラブル例

2015年頃からテレビや雑誌で「民泊」という言葉や文字を目にする機会が増えました。

この民泊という言葉は何も最近誕生した新語ではありません。

以前からずっと使われてきた言葉なのですが、以前の「民泊」と今の「民泊」では少しばかり意味が違っています。

今回はこの民泊がなぜこのように注目されているのかについて、詳しく解説していきたいと思います。

民泊とは?定義について

以前は見ず知らずの旅人などを自宅に泊めてあげ、食事やお風呂を無償で提供してあげることを民泊と呼んだりしていました。

しかし昨今の民泊という定義は以前のそれとは大幅に異なる行為に対して使われています。

現在における「民泊」の定義とは、自宅や別宅、マンションの空室などに旅行者を有償で宿泊させることを言います。

どうやって民泊希望者を募るのかというと、インターネットに民泊専用のサイトがいくつも存在しており、そこで自分が提供できる部屋の写真や条件(価格や時間)などを掲載しておき、それをみた旅行者が民泊希望のオファーをしてくるというのが一般的な流れです。

もっとも代表的な民泊マッチングサイトとして「Airbnb(エアービー&ビー)」というものがあります。

Airbnbに関しては、以前に詳しく取り上げた記事を書いていますので下記をご覧ください。

民泊利用者の93%が外国人旅行者

民泊を利用する人のじつに93%が外国人の旅行者だという調査データがあります。

実際にさきほど取り上げた「Airbnb」という民泊サイトは、アメリカで立ちあげられ、その後世界全国で利用されるようになりました。

日本に正式に参入してきたのは、日本法人のAirbnb Japanが2014年5月設立となっていますので、まだ2年ほどしか経っていません。

「そんな見ず知らずの外国人を泊めるなんて怖くてできない」と思う人もいるでしょう。

ですが民泊にはいろんな宿泊の形があり、自分のライフスタイルや所有不動産などに合わせて民泊希望者を迎えることができます。

例えば民泊とひとことで言っても、下記の3つのパターンが代表的なものです。

  • 同居型民泊スタイル
  • マンション一室型民泊スタイル
  • 戸建てまるごとシェアハウス型民泊スタイル

民泊にはコレという決まった規則もないので、自分の好きなように民泊空間を提供することができます。

同居型は自分が住んでいる空間に民泊希望者を宿泊させるタイプ、マンション一室型というのは使用してないマンションや賃貸アパートの一室を利用するタイプ、そして3つめが実際には使ってない戸建てまるごとをシェアハウスのように使うタイプです。

そのため民泊料金もホスト(貸す側)によって自由に決められており、1泊2,000円という場合もあれば、1泊30,000円というケースもあります。

それらの条件はサイトの物件情報のところに詳しく記載することができるようになっています。

日本国内だけでも、Airbnbに登録されている民泊部屋の数はすでに2万件以上もあると言われており、予想以上の広がりをみせています。

最近はこのように一般人同士をマッチングするサイトというのが流行っており、民泊以外にも有名なところでいえば、「タクシー利用者マッチングサイト」、「自宅駐車場マッチングサイト」、「引っ越し業者マッチングサイト」など、さまざまなマッチングサービスが提供されています。

民泊のトラブルや問題点

ちょっとしたお小遣い稼ぎや新たな不動産投資のスタイルとして注目されている民泊サービスですが、少し考えればトラブルが多発しそうなことは容易に想像ができます。

なんのトラブルもなく民泊サービスを利用していけるかというと、かなり疑問が残ります。

そこで今回はあまり良い話しばかりしてもアレですので、民泊サービスにおいて想定できるトラブルや問題点についても考えてみたいと思います。

  • 宿泊料金はちゃんと払ってくれるのか?
  • 宿泊目的以外で利用する人はいないのか?
  • 隣近所の人から苦情がでないか?
  • そもそも法律的に問題ないのか?

真っ先に想定したトラブルといえば、この4つでした。それではそれぞれ具体的に解説していきたいと思います。

宿泊料金はちゃんと払ってくれるのか?

他の民泊サイトはわかりませんが、今回紹介しているAirbnbであれば、支払い関係は借り手と貸し手で直接行うものではなく、クレジットカードや銀行振込みとなっています。

基本的に支払いに関してはAirbnbが介在しているので、支払いに関するトラブルというのはあまり心配しなくても大丈夫のようです。

宿泊目的以外で利用する人はいないのか?

やはりこの問題が一番懸念する材料だと思います。実際お部屋を借りた人が旅行中の宿泊目的なのか知る術はありません。

まったく別の目的で部屋を借りる人もいるでしょう。

下世話な話しになって申し訳ないのですがラブホテル代わりに使われるのなんてまっぴらですし、犯罪行為の場所として借りられる可能性だって十分にあります。

また備え付けの家電品や設備品が壊される心配だってあります。

Airbnbによればこうした破損に対しては保証で補うことができると記載されていますが、果たしてどこまでが保証対象になるのか不安です。

すごく極端な話しテレビが盗まれればテレビ代金を保証してくれるのでしょうが、部屋の中で殺人事件や自殺があったとして、不動産価値の低下も保証してくれるのでしょうか?

隣近所の人から苦情がでないか?

最近よく耳にするのが民泊利用者と近隣住民とのトラブルです。とくにマンションの一室などを民泊施設として利用しているケースでは、両隣や上下階の住人からトラブルが続発しているとの話をよく聞きます。

利用者は旅行者がほとんどなので、気分的にハイになっており酔っ払うこともあるでしょう。

そうすると夜中でも大声で騒いだりして隣近所に迷惑がかかります。

もしあなたが住んでいる部屋の隣が民泊に利用されていたらどう思いますか?管理人だったらとても不安ですし不快に思います。

とくに小さなお子さんがいる家庭などは、不特定多数の外国人が出入りすることを嫌がる人も多いのではないでしょうか。

そうしたことから昨今では利用規約において、「民泊施設として利用しない」という文言を追加している物件も出始めているようです。

そもそも法律的に問題ないのか?

これは国会を巻き込んでの問題へと発展していますので、今ここで合法なのか違法なのかという判断はできません。

国としては、外国人旅行者の数は増加する反面、宿泊できるホテルや旅館の絶対数が足りてないので、民泊制度を上手く利用したいという意図がみてとれますが、それに猛反発しているのが旅館やビジネスホテルを営む宿泊業者です。

ホテルや旅館というのは、法律で決められたことを守り許可をもらって営業しているわけですから、それを何の法制限もなく好きかってに営業できる民泊に対して怒るのは無理もありません。

わかりやすく例えるなら、タクシーの営業許可も持たないのに客を乗せて料金を取っていた白タクと同じだからです。

白タクは当然違法なので厳しい締め付けにより今はほとんどみかけなくなりましたが、なぜそれが宿泊業だと許されるのでしょうか?

実際に民泊を経営していた会社代表や、民泊を募集していた夫婦が逮捕摘発されたケースもあります。

早急に民泊と旅館業の線引きがされた新たな法整備が必要であることに違いありません。

政府は2017年2月時点で「民泊新法」の施工に向けて最終調整に入ったと言われています。

この民泊新法に関しては次の項目で詳しく解説してきたいと思います。

民泊の新しい取り組み

民泊における法整備が急務だという話をしましたが、徐々に民泊におけるルールは決まりつつあります。

今後国会で審議予定とされているのが「住宅宿泊事業法」というもので、俗に「民泊新法」と言われたりしています。

この民泊新法は国が定める法律となる予定なのですが、それを待てない一部の自治体では独自に「民泊条例」や、反発が強かった旅館業に対しては旅館業法を一部緩和する動きが起こっています。

つまり今後この民泊制度を利用するためには、「民泊新法」「民泊条例」「旅館業法」という3つの法律について学んでおく必要が出てきているわけです。

さすがに1つでも面倒なのに3つもの法律に目を向けるのは大変ですよね。

そこで当サイトでは、2017年3月時点におけるそれぞれの法解釈を簡単にですが解説していこうと思います。

民泊新法 旅館業法 民泊条例
家主在宅型 家主不在型 簡易宿泊型 自治体条例型
営業手続き 届出 登録 許可 認定
営業日数の上限 180日 180日 なし なし
最低宿泊日数 なし なし なし 2泊3日以上
同時宿泊者数 4人 4人 なし なし

比較する内容は多数あるのですが、今回はとりあえず重要な箇所に絞って比較一覧を作ってみましたので、解説していきたいと思います。

ただし民泊新法に関してはあくまでも現時点では予想内容となっていますので、決定している内容ではありません。

営業の手続きに関して

これは民泊サービスを始めるにあたり、いかなる場合も申請が必要になります。これまで自宅を宿泊施設として提供していた民泊ですが、届出や申請は一切不要でした。

しかし新しい法整備として民泊サービスを個人で提供する場合でも、必ず何らかの手続きが必要になります。

この項目で比較すると、旅館業法や民泊条例が申請後に審査によって可否が決められるのに対し、民泊新法は申請させすれば審査などは不要という解釈になります。

とりあえず許可などを取る必要はないけど、民泊サービスを始めるんだったらちゃんと申請手続きはしてね。というのが民泊新法に織り込まれる予定なので、手頃に始めることができるのは民泊新法に沿ったサービスということになります。

営業日数の上限

これはどのような意味かというと、1年間で宿泊させて良い日数のことです。

旅館業法と民泊条例であれば、毎日365日ずっと誰かを泊めてもいいけど、民泊新法であれば「1年間に180日以内までしか泊めてはいけませんよ」という解釈になります。

180日といえば1年の約半分なので、収益目的で民泊サービスを始めたいのであれば民泊新法ではなく、旅館業法か民泊条例に沿って始めるのが一番効率的に収益を上げることができるのがわかります。

最低宿泊日数

民泊条例だけが2泊3日以上という規則がありますが、他の項目ではとくに指定はありません。

これは当初、旅館などと線引きするために条例で6泊7日以上という決まりがあったのですが、そんな1ヶ所に6日以上も宿泊する人など存在するはずがなく、一向に届出が増えない現状をうけて今の2泊3日以上に変更となりました。

それでも民泊で2泊以上という制限が設けてあるのはかなりマイナス材料となります。

同時宿泊者数

その場所に宿泊できる人数の上限を意味しています。

民泊新法のみ4人という決まりとなりそうですが、その他の項目では決まりはありませんので、5人でも10人でも同時に泊まらせることができるという解釈です。

家族旅行だったり、友達同士での団体旅行などでは4人以上となるケースもあるかもしれませんが、あまり大きな問題として考える必要はないかもしれません。


これら4つの項目を比較しただけでも、それぞれの特徴が異なることがわかります。

まだ民泊新法は選定中なので今後明確にどうなっていくのかわかっていませんが、大部分の内容はこの通りで決まりそうな雰囲気があります。

民泊をビジネスチャンスと感じている方も多いと思いますので、そういった人は他より少しでも早いタイミングで取りかかるのが成功の秘訣だと思います。

まずは自分にあっている民泊制度を早い段階で見極めることが大切だと思います。

ちなみに民泊ビジネスを始めるために、わざわざ民泊用のマンションなどを購入する人も増えているようなので、賃貸経営をしていて空室に悩んでいるのであれば民泊ビジネスも視野に柔軟に対応していくのもアリだと思います。

民泊を扱ったドラマなど

これまで民泊についてあまり知らなかった、興味がなかったという人でも、わかりやすく民泊について知ることができる方法として、民泊を厚かったドラマを紹介します。

2016年10月から放送が開始され、全6話完結の「拝啓、民泊様」というドラマがあります。

リストラされたことを妻(黒木メイサ)にいえない夫(新井浩文)が、内緒で始めたビジネスが民泊でした。

民泊の問題点やトラブルなどを面白おかしく描いているドラマなので、民泊についてこれから知りたいと思う人には良い教材になると思いますし、全6話なのでみやすいドラマかなと思います。

「拝啓、民泊様」オフィシャルサイト:http://minpakusama.com/

まとめ

日本へやってくる外国人旅行者は増加の一途を辿ります。

今からホテルや旅館などを新たに整備するのは相当難しいと思うので、きっと政府は民泊サービスを後押しするのではないかと思っています。

その後、民泊ビジネスがどのような形態を辿っていくのかはっきりした道しるべができると考えているのですが、それでもまだ5年ほど先の話しです。

それから民泊ビジネスに参入しても遅いと思うので、興味があるのでしたら法整備が着実に進められている今が参入するには最的な時期かもしれません。

今後5年、今よりも悪い方向に向かうとは思われないので、あとはどのタイプで申請するかだけだと思います。

ただ法的な問題をクリアできても、近隣トラブルや利用者とのトラブルがゼロになることはないので、そういった覚悟も必要だと思います。

今使っていない家やマンションがあるから、それを民泊に利用しようと思う人も増えているようですが、安易に始めてしまうとトラブルに巻き込まれる可能性があるので、ちゃんとメリットとデメリットを理解してから始めることをおすすめします。

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