5分で分かる!空き家対策特別措置法と空き家問題のポイント

5分で分かる!空き家対策特別措置法と空き家問題のポイント

不動産業界では今、「空き家問題」が話題となっています。空き家とは、長い期間利用者のいない住宅のことを指します。

適切な管理がなされないために、火災や倒壊、犯罪の温床など、さまざまなトラブルの可能性が指摘されています。

これまでは法整備が追いついておらず、各自治体が条例を制定して個別に対応していたのが実情で、空き家対策は手探りの状態となっていました。

このような状況を打開するため、平成27年2月26日に「空き家対策特別措置法」が施行されました。法律ができたということは、空き家問題が国家レベルで無視できないほどに大きなものであることを意味します。

法律と聞くと内容理解が難しいイメージがつきまといますが、この空き家対策特別措置法については、不動産を所有するオーナーにとって「知らなかった」では済まされない法律となっています。

今回は、空き家対策特別措置法について考えてみたいと思います。

空き家率が過去最高を記録

日本には現在、どのくらいの空き家があるのでしょうか。平成25年のデータによると、820万戸もの空き家があります。

日本の総住宅数は6,063万戸数ですから、空き家率は実に13.5%にも及びます。住宅が8軒あるとすると、そのうちの一軒は空き家だという計算になります。(総務省による平成25年10月1日現在の調査結果)

13.5%の空き家率は過去最高の数字です。把握しきれていない空き家も相当数あることが予想されますので、実態としてはさらに多いのかもしれません。

平成27年10月に国土交通省から公開されたデータによると、空き家820万戸のうち、賃貸用の住宅が半数以上(52.4%)、木造一戸建てが38.8%を占めています。
※参考PDF:http://www.mlit.go.jp/common/001107436.pdf

また、東海地方、九州地方、中国地方、四国地方の空き家率が高いということが分かります。空き家問題は、都心よりも地方で顕在化しています。これは各地方の高齢化率ともリンクしていて、高齢化率が高い地域であればあるほど、空き家が多い現状が見えてきます。

そして、空き家の発生理由として、相続して取得したものが56.4%で最多になっていることも興味深い数値です。

今回の国土交通省のデータは、平成25年の集計値がベースになっています。今後、空き家対策特別措置法を根拠とした調査が進むことになるので、これまで以上に実態把握が進んでいくでしょう。

空き家対策特別措置法の目的とは

空き家対策特別措置法が成立した背景には、空き家の放置による問題が表面化したことがあります。

将来的に取り壊す予定で誰も利用していない住宅も空き家に含まれますが、何らかの予定や計画がある空き家は問題にはなりません。

大きな問題をはらんでいるのは、誰も管理をしていない空き家です。管理者がいない状態が長期に及んでしまうと、多くの問題が生じやすくなります。

古い空き家が老朽化すれば倒壊する恐れがありますし、いつしか動物の住処となってしまい環境悪化の原因となる可能性もあるでしょう。また、ゴミが空き家へ不法投棄されることもあるようです。さらには、建物そのものが犯罪組織に利用されるなど、思いもよらないトラブルが生まれかねません。

そのような危険をはらんでいる空き家に対しては、適切な措置を講じなければなりません。しかしこれまでは、空き家対策に関する法整備がなされておらず、行政側が対策を施すことが難しいという事情がありました。

たとえ近隣住民が役所などに対策の依頼をしても、住宅はあくまでも個人所有の財産なので、行政側が勝手に調査や処分をするわけにもいかず、なかなか悩ましい問題だったのです。

また、解体の意思はあるものの、費用がかかることなどがネックとなり、なかなか処分に踏み切れない所有者もいたようです。

たしかに、空き家対策条例を独自に制定していた自治体も存在します。しかし、それだけでは根本的な解決とまではいかず、国の政策として空き家対策を施す必要に迫られたのです。

そして制定されたのが、空き家対策特別措置法です。この法律ができたことによって、所有者任せにするのではなく、行政側が権限と責任をもって空き家対策を行うことになります。

これで空き家問題がすべて解決するわけではもちろんありませんが、行政側の調査と把握、是正措置を可能にした点において、この法律が制定された意義は大きいでしょう。

是正措置対象となる「特定空き家」とは

空き家対策特別措置法は、さまざまな問題をはらんでいる空き家を「特定空き家等」として次のように定義しています。以下、国土交通省のサイトから引用します。
※参考PDF:http://www.mlit.go.jp/common/001080534.pdf

  1. 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
  2. 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
  3. 適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
  4. その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

これらにあてはまると判断された「特定空き家」については、行政による立ち入り調査ができるようになりました。そして、所有者に対する「指導、勧告、命令、代執行」の措置がなされることになります。

これが、空き家対策特別措置法の大きなポイントです。詳しく説明していきましょう。

行政による空き家調査が可能に

空き家対策特別措置法は、行政側が空き家の状況をきちんと把握することを求めています。

放置された空き家がもたらす危険性を認識していても、空き家がどこにあって、いったいどのくらいの数なのかが分からなければ、対策の施しようがないからです。

まずは、空き家の所在に関する調査やデータベースの整備、適切な管理や活用の推進が図られます。

逆を言えば、空き家対策特別措置法ができる以前は、空き家の実態をきちんと把握することすらできていなかったということになります。

そして、状況を把握したうえで、上記の定義に照らして、空き家の中でも特に対策の必要な空き家を「特定空き家」とみなすわけです。

誰も使用していない空き家といえども、法的には誰かしらの所有物であるはずです。そのため、行政側が勝手に空き家を処分することや、敷地内に入って調査をすることが難しく、実態把握すら正確にはできなかったのです。

そのような問題を背景として、空き家対策特別措置法が定める「特定空き家」については、立ち入り調査と所有者への是正勧告を可能にしました。

ちなみに、この立ち入り調査を拒否した場合には、20万円以下の過料が科せられることがあります。

行政からのお達しは、段階的に厳しいものになる

「特定空き家」と認定された場合には、行政側が「助言・指導、勧告、命令、代執行」の順に、空き家の是正が迫られます。

最終的な措置である「代執行」は、行政側による強制撤去を意味します。もちろん、最初から強制的な措置がなされるわけではありません。

最初の段階である「助言・指導」は任意のものであるため、従わなかったとしても罰則などのペナルティはありません。しかし、後々のことを考えると、この段階で何らかの措置をした方が得策だと言えます。

空き家の所有者が指導を受け入れないのであれば、指導の次に強い「勧告」をすることになります。この勧告は法的な意味としては指導に近いため、従わなくても罰則はありません。

ただし、空き家対策特別措置法における勧告は、大きな意味を持っています。詳しくは後述しますが、勧告を受けた段階で「税金の優遇措置」を受けられなくなるからです。つまり、空き家を放置しておくことのひとつのメリットがなくなります。

そして、勧告があっても対策が講じられない場合には、「命令」が発せられます。この命令では、改善するための猶予期間が示されます。

この猶予期間内に空き家対策を完了させなければならず、命令があってから対策を始めるのでは手遅れになりかねませんので、注意が必要です。

期間内に是正がなされない場合だけでなく、求められている改善が十分に行われていないと判断された場合についても、行政側は次の段階の「代執行」手続きに入ることができます。

代執行の段階になると、行政側が強制的に空き家を撤去します。所有者が撤去を希望しない場合であっても、撤去費用は空き家の所有者に請求がなされます。

この段階まできてしまうと、所有者が行政側に逆らうことは事実上、不可能です。

このように、行政側からの要請は徐々に重い意味を持つようになります。いきなり強制的な代執行がなされるわけではありませんので、「行政側と対話をしながら、対応を検討していく」のが現実的な流れになるでしょう。

「助言・指導」があった段階で、行政側とのコミュニケーションをしっかりと取ることをおすすめします。

「勧告」がなされると、税金の優遇措置がなくなる

これまで見てきたように、行政側は空き家所有者に対して「指導・助言→勧告→命令→代執行」の順番で、対策を迫っていきます。

「指導・助言」に従わなくても罰則がありませんので、放置してもいいだろうと考えがちですが、次の「勧告」に進んでしまうと、固定資産税の特例から外されることになります。

空き家が増えている理由のひとつとして、この固定資産税の減免措置があります。この減免措置の対象となるのは、住宅が建っている土地です。

住宅が建っている土地であれば、何も利用していない更地と比べて、なんと6分の1の固定資産税で済むのです。(200㎡を超える部分については3分の1)

要するに、たとえ使わない住宅であっても、そのまま放置しておくだけで、土地の固定資産税の減免措置が受けられることになります。

使用しない住宅を費用をかけて壊したにも関わらず、その上で固定資産税が6倍にまで跳ね上がってしまうのであれば、空き家をそのまま放置しておきたいと考えるのも当然のことでしょう。

そこで空き家対策特別措置法では、勧告が行われた住宅を固定資産税の減免措置から外すことになったのです。

これにより、固定資産税の減免措置を受けるために空き家を放置しておくことが意味をなさなくなりました。

このことを知らずに、固定資産税の減免措置を目当てに空き家を放置してしまうとしっぺ返しを受けることになりますので、不動産オーナーは注意してください。

住宅の固定資産税額と土地の固定資産税額の関係で、住宅を壊してしまったほうが固定資産税の支払い総額が下がるというケースもあり得ます。

自分の固定資産税額について再度確認してみることは、空き家対策の計画を立てるためにも有意義なことです。これを機に、住宅を解体したあとの固定資産税額のシミュレーションを行ってみるといいでしょう。

行政側が所有者を探す方法

意図的に放置している空き家だけでなく、管理者が明確に定まっておらずにそのままになっているケースがあります。

後者の例としては、所有者が海外在住であったり、地方の住宅を相続した子供が都心で働いていて、地方にはなかなか戻らないケースなどが考えられます。

そのような 場合、所有者への連絡だけでなく、所有者を特定することすら難しいという事情がありました。

基本的には、空き家の所有者が誰なのかは不動産登記簿に記載されているのですが、不動産登記は義務ではありませんので、未登記のままであることも珍しくありません。

また、登記簿上の所有者がすでに亡くなってしまっているものの、その後の相続登記がなされていないことがあります。さらに、少子化などの影響で相続人がいないことも増えてきました。そうなると、登記簿上から所有者を特定することは困難です。

そこで、所有者の居所をつかむことが難しい場合、自治体は固定資産税の納税に関する情報を利用できるようになりました。これにより、従来よりもスムーズに所有者を特定することができます。

空き家に関する素朴な疑問

空き家の注意点を解説してきましたが、空き家対策特別措置についての概要や流れわかっていただけましたでしょうか?

ここまで読んでいただいた方の中には、「こんな時ってどうなんだろう?」という疑問が出てくる方もいると思います。

そこでここでは空き家に関するよくある質問に回答してみました。

空き家の素朴な疑問その1

1年以上誰も住んでいない状態のことを、空き家と言いますが、では1年に1日でも住めば空き家とはなりませんか】

たしかに空き家の定義は、「1年以上誰も住んでない状態のこと」です。しかし、近隣に迷惑が掛かっており、危険を及ぼすリスクが高いと判断されれば、今回紹介した「空き家対策特別措置法」に限らず、建築基準法に沿って解体命令が出されます。

空き家の素朴な疑問その2

なぜ多くの人が空き家のままにしているのか

回答:理由は様々ですが、大きく分類すると2つ考えられます。

  1. そもそも空き家だとは思っていない
  2. 売却・賃貸ともに需要がない

1番に関しては、そもそも空き家だと認識していない人が大勢います。両親が住んでいた実家にしても、家財道具などが残されており、自分たちも物置のように使っているケースが目立ちます。これは比較的近隣に居住しているケースが多いです。

そして2番に関しては、「売りたい、貸したいけど需要がない」というケースです。物件が古く誰も借りてくれないし、買い手もみつからないという物件です。結局そのまま放置して、管理が行き届かなくなります。

空き家の素朴な疑問その3

売ったり貸したりするのはそんなに難しいのか

極論をいうと、立地によります。多少築年数が経過しているような物件でも、立地が良ければ更地にして売ることもできますし、駐車場として貸すこともできます。ただし、遠隔地だったりすると更地にして売るにも、費用の方が高くなってしまうこともありますし、最悪のケースだと、新たに建物を建てられない地域(市街化調整区域)という場合もあります。

空き家の素朴な疑問その4

空き家を何か有効活用する方法はないのか

古民家などは今ブームなので、売れ易いと思っているかもしれませんが、それはほんのごく一部の物件に限った話です。しかし、ただ古いからといって、何も利用価値がないわけじゃありません。「どんなに安くても良いから売りたい」というのであれば、買い取り専門の業者にお願いする方法もありますし、多少費用は掛かるかもしれませんが、老人施設や保育所などとして貸し出すことも、難しくはありません。

空き家の価値が徐々に下がっていく前に、有効活用する手段を考えることは、ご自身の資産の一部を見直す良い機会にもなります。立地や色々な条件を踏まえてベストな使い方を模索することも大切です。

放置から活用へ

これまでは、空き家を放置することで固定資産税負担の軽減措置が受けられましたが、この法律によってそのような恩恵がなくなりました。

つまり、「空き家を資産として活用する方が所有者のメリットにつながる時代」になったと言えます。

空き家には、活用する余地や資産価値が残されています。放置するなんて、実にもったいないことなのです。

空き家対策特別措置法は、放置のメリットをなくすことによって、空き家のポテンシャルに気づいてもらう法律でもあります。

しかしそうは言っても、利用方法がみつからないからこそ空き家になっているはずです。単純に「活用」と言っても、どうすればよいのかわからないという声が聞こえてきそうです。

そこで次回のコラムでは、空き家の活用方法について取り上げたいと思います。

次回コラム「空き屋の放置はダメ!賢い空き家対策と活用法

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